浴びる美術館 - 南仏の美術館 -

浴びる美術館 - 南仏の美術館 -

Bonjour!

たくさん食べて、たくさん笑った翌日は、不思議と外の空気が恋しくなります。

父、Caz、祖母、そして私。

4人で向かったのは、岩に抱かれるような場所にひっそりと佇む美術館でした。

では早速、クリスマスのお祝いが終わった翌日のお話です。

 

「キャリエール・ド・ルミエール(=光の採石場)」

引用元:

Dans les coulisses des Carrières des Lumières en Provence

| Explore France


19世紀に石灰岩を採掘するために使われていた巨大な採石場は、
いまでは没入型のアート空間として生まれ変わった美術館。

壁も床も天井も、白い石灰岩のまま。

その広大なキャンバスにプロジェクションマッピングが投影され、
展示は毎年変わるそう。

何回訪れても楽しめるのも魅力的なポイント!🌃

 

私たちにとっては、今回が初めての訪問でした。

 

 

浴びる美術館

 

テーマは古代エジプト。
絵が文字だった時代の言葉たちが、壁をすべり、天井を渡っていきます。

歩き進めていくと、映像が岩肌を走り、音が反響するなか、
足元の砂の感触や、肌をなでるような冷たい空気、岩に反響する音。


作品を“見る”というより、空間そのものを"浴びる"ような体験🎨🌠。
視覚だけでなく、感覚全体が展示の一部として巻き込まれていくような感じでした。


五感に触れてくる展示空間なんて、なかなかないですよね!

 

 

無邪気さが満ちる空間

ふと辺りを見回すと、車いすの人、年配の人、手を繋いだカップル、家族連れ。


地面に座り込んで天井を見上げる人もいれば、岩のくぼみに腰をかけて、
静かに作品を見つめている人も。

それぞれのペースで、美術館に“身体ごと”浸っているように見えました。

感覚を預けながら、作品に静かに耳を澄ませている。

“感じ取ろう”とする空気が、自然と満ちていたように思います。

無邪気さと集中が重なるその姿に、どこかフランスらしい——感じたことをそのまま味わい、
自分の中で咀嚼する美徳がにじんでいました。

 

 

音の中の静けさ

音は響いていて人は多いはずのに、不思議と静かに感じられました。

普段、大勢がいる空間では、
どこか焦点がぼやけてしまうことが多いのに、
この時は、周りがクリアに見えて違っていました。

自分の視界も、感覚も、ノイズがないままに開いているような感覚

 

「とても素敵ね」

隣から、壁に映る絵を眺めながら祖母がボソッと。


美術が好きでも、美術館に頻繁に足を運ぶわけではない祖母が、
こんなふうに自然に感動していたこと。

その感性が80代後半の今もちゃんと働いていること。

それを見て、感性は年齢じゃなく、まっすぐな目を持ち続けられるかなのかもと思った瞬間でした🌌。

 

 

感性が戻ってくる場所

展示が終わって出た後の、
行き道で触れた冷たい外気とまた違って感じるのって不思議ですよね。


もしかしたら、
身を置いて絵からなにかを受け取ったから、
身体のどこかに残っているのかもしれません🌙。

 

特にフランスでは、
芸術も日常も、“解釈”よりも“感覚”で受け取る文化があると思っています。  

子どもの頃から「どう感じた?」と問いかけられながら育ち、  
説明よりも、自分の内側に湧いた感覚を信じることを大切にしている。

そんな風土の中にあるからこそ、  
あの静けさや、心の動きが、自然と染み込んでいったのかもしれないですね。

 

内側で感じて、自分の中で返していく。

キャリエール・ド・ミエールのような場所に身を置いたとき、  
その問いが、身体の奥に届くかもしれないですね🌙。

 

 

~プチ紹介~

キャリエール・ド・ルミエール

古代から白く明るい石灰岩の採石場として知られており、
その岩は古代ローマ時代から建築材料として重宝されてきたみたいです。


この石灰岩はセダン期(約1億年前)に堆積した海洋性の堆積岩で、
海中の貝殻や石灰質の微生物の死骸が圧縮されて形成されたもの!

ぜひ南仏に来られる機会があったら遊びに行ってみてください♪

キャリエール・ド・ルミエールの詳細(Expedia)

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